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韓国近現代の歴史—検定韓国高等学校近現代史教科書
韓国近現代の歴史 (世界の教科書シリーズ)韓国近現代の歴史 (世界の教科書シリーズ)
(2009/05/22)
韓 哲昊、金 仁基 他

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これは1860年から現代までを扱う韓国の高等学校における近現代史の授業での教科書、その日本語訳だ。
「国定(韓国)国史」も読んでみたが、やたらと嫌みに満ちた表現ばかりではあるものの、予想以上には反日的ではないという印象だった。
しかしこの教科書は全く別種のものであると感じた。中国の「正史」にもこれほどのものはまだ見たことがない。
これは位置づけから異なる。

歴史的事実を伝えるというよりは、資料を読んで解釈することを通して問題解決能力を養えるように構成した。このために、さまざまな資料や事例を示し、各単元と主題の学習目標および提示された資料の特性にふさわしい探求課題を示して、自己主導型の学習が行えるようにした。・・・・写真、絵、地図、図表や「学習の手助け」を載せ、感じたり、考えたりしたことが生きる歴史学習となるように配慮した。また、「小説でみる歴史」「写真と絵で見る歴史」「映画・漫画でみる歴史」など、歴史に接することができる多様で興味深い読み物を示し、韓国近現代史に対する多様で幅広い理解を可能にした。
この教科書を通して、韓国近現代史を生き生きと漢字、深く考えることによって、自立的で新種の歴史意識を持つことができるように願っている



と銘打つだけある。
こんな教科書はみたことがない。
いわゆる教科書的本文にあたる記述は全く存在せず、資料集とワークブックの合わさったようなものになっている。

各章が、
テーマ・学習目標の提示、資料集のような例を用いた導入部分が数行、探求活動と銘打って「資料」として3〜5行ほどのコラムのようなものがいくつか、「課題を解こう」として「なにが原因だったのか、考えてみよう」などと呼びかける、
という構成による。
画期的だ。日本的な歴史教科書の重圧を全く感じさせない、小学校の楽しい歴史教科書の趣を越える書だ。


ただ悲惨なのは、内容の偏向具合だ。
例えば、こんなかんじである。(適当ににページを開いたところp.122だった。これのまとまり具合が良かったので採用する)

●課題を解こう
2,資料3と次の二人の学生の対話を参考にして、新小説が持つ肯定的側面と否定的側面を評価してみよう。
チュミン :新小説は言葉と文字が一致する文体や作品の内容から見ると、私たちの近代文学を発展させるのに大きな貢献をしたと思う。
チョンミン:すべての作品が必ずしもそうではないよ。君は新小説の開拓者李人植が売国奴李完用の秘書だったということを知っているかな。
チュミン :李人植が親日派だったとしても、彼が書いた新小説まですべてダメだとは言えないんじゃないか。
チョンミン:だけど作品の名前をまず考えてみよう。『血の涙ヒョレヌ』は明らかに日本式表現だ。僕たちが普通に書く『血の涙ピヌンムル』または『血の涙ヒョルル』とすれば良いのに。君はこの作品を読んでないな。題名だけじゃなくて文体も日本式で、内容も親日戦争当時の日本に肩入れしながら、それをなとなく日帝の侵略を合理化しているんだよ。
3、・・・・

(本文)上で見たように、国の運命が傾いた20世紀初めにも、わが国の文学や芸術では新しい発展がなされていた。しかし、日帝がわが国を侵略した時期に親日的知識人が一部の外国文化、特に日本文化を無差別に輸入し、紹介したことは、日帝の文化的侵略を助ける行動であったことをそのまま見過ごすことはできない。その後、日帝の植民統治下でわが民族の伝統文化は過酷な弾圧を受けなければならなかった。



こういう具合にものすごい。
プロパガンダがそのまま書かれているんじゃない。資料を通して自分で考えていく中で、自ずから考えが共有されるように仕組まれている。資料集じゃない。扇動集とでもいうか。よくもここまで恣意的な情報を集められるものだと感心してしまうくらいだ。

そして事あるごとに日帝が登場するのだが、そこでは日帝はたいてい批判されており、希に肯定されていると思ったらその主張の誤りを正すよう仕組まれている。

日帝は常にひどいことをしたし、韓国が悪かったのは日帝のせいで、賠償なんてもちろんない。

資料2 学習の手助け/韓日協定締結(1965)
韓日国交正常化は日本の謝罪と植民支配に対する賠償などが問題となって行われていなかった。しかし朴正煕政権は日本との修好を要求するアメリカの支持を得て、経済開発の資金を工面するために日本との国交正常化を急いだ。こうして日本の植民地支配謝罪、略奪文化財の返還、軍隊慰安婦と強制徴用者、そして原爆被害者に対する賠償、在日同胞の正統な法的地位及び待遇などの問題はほとんど扱われないまま、無償3億ドルと政府借款2億ドル、民間借款1億どる異常を受け取る条件で韓日協定が締結されてしまった。



本文らしき本文がないのは、本来本文とすべきところを「資料」にまわしてしまい、資料なんだか本文なんだかわからなくしていることにも原因がある。本文を分散させ、資料と小見出しをつけることで、裏に権威ある「資料」の記述があることでも強調したかったのだろうか?ただ、その資料に出典の記載はないものが多い。

自国内での戦争であり、三年間続き文字通り国がひっくり返ることもあり得た朝鮮戦争には、近現代史の教科書であったら当然多くの分量が割かれるべきである。しかしそれには、2ページ(あるいは4ページ)しか割かれていない。日本と違って合併する統合する可能性の高い同じ朝鮮民族の国である北朝鮮に対しては、将来に禍根を残さないように負の側面を押さえたのだろうか?
また、済州島4・3事件についての記述はあったが、李承晩大統領の命令によって韓国国軍や韓国警察が政治犯や民間人などを少なくとも20万人あまりを大量虐殺したといわれている保導連盟事件に関しては一切記述がない。

怪しげな宗教団体のパンフレットであっても、こんなひどいことはない、そういえるほどの出来だ。

無知の状態からこの教科書で教わったとしたら、日本を嫌わざるを得なくなる。今の韓国が反日的であるとしてもそこには何の疑いもなく受け入れられるだけの原因が見つかってしまったと、そういう気持ちになった。
今までの教育方法は旧態依然として不十分だった。これからの時代の「洗脳」はこうしてやるのだ。と、そんなことを投げかけるような先駆の書であるようにさえ思えた。



2013年からは韓国近現代史の教科再編とともにこの教科書は使われなくなり、あたらしい歴史教育が始まるという。一部右翼団体(韓国においては日本と右左の役割が違うらしい)が大戦中における日本がもたらした功績に対して肯定的な評価をくだす教科書を独自に出版しているという情報も聞く。
ナポレオンはフランスでは英雄と表記されるがイギリスでは侵略者と表記されるように、歴史のとらえ方は国によって異なるのは避けられないことだ。しかし新しい歴史教科書ではここにかかれるような明らか偏見に満ちた歴史ではなく、すくなくとも客観的立場からみて妥当といえるレベルの教科書であってほしいと思った。
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